ANT
BC-ANT-SERIAL 説明書 †
1.概要 †
BC-ANT-SERIAL モジュールは、NORDIC社製 第二世代のANTチップ nRF24AP2-8CH を搭載した通信モジュールです。
組込み用マイコンなどとはシングルエンド、非同期シリアル(1.9V〜3.3VのRS-232C)にて通信することができます。
※右側の 100円硬貨は、大きさの比較用です。
2.仕様 †
- 絶対最大定格
| 最小 | 最大 |
電源電圧 (VDD) | -0.3V | +3.6V |
GND電圧 (VSS) | | 0V |
入出力端子電圧 | -0.3V | VDD+0.3V または 3.6V いずれか低い方 |
動作温度 (結露なきこと) | -40℃ | +85℃ |
保存温度 (結露なきこと) | -40℃ | +85℃ |
- 動作時
項目 | 最小 | 標準 | 最大 | 単位・備考 |
電源電圧 | 1.9 | 3.0 | 3.6 | V |
Hレベル入力電圧 | 0.7 x VDD | | VDD | V |
Lレベル入力電圧 | VSS | | 0.3 x VDD | V |
Hレベル出力電圧 | VDD - 0.3 | | VDD | V |
Lレベル出力電圧 | VSS | | 0.3 | V |
出力周波数 | 2403 | | 2480 | MHz (1MHzステップ 78波) |
PCB (高さ) | | 26.5 | | mm |
PCB (幅) | | 15 | | mm |
PCB (厚さ) | | 1.0 | | mm (実装部品を除く) |
3. ホストインターフェイス †
ホスト側マイクロコンピュータとのインターフェイスは 非同期シリアル通信のみサポートしています。
本モジュールでは同期モードはサポートしません。
モジュール上のピンヘッダと 半田面にあるパッドの機能割り当ては下表の通りです。基板上ではシルク印刷にて
表示しています。
- ピンヘッダ割り当て
No. | 信号名 | 方向 | 備考 |
1 | VDD | 電源 | 電源電圧は 2. 仕様を参照 |
2 | GND | GND | |
3 | RTS | 出力 | UART 通信フロー制御 |
4 | RX | 入力 | UART 通信用 (モジュール受信) |
5 | TX | 出力 | UART 通信用 (モジュール送信) |
- 各パッドの機能割り当て
パッド名 | 信号名 | 方向 | 備考 |
RST | RESET | 入力 | ANTチップのリセット用 |
SUP | SUSPEND | 入力 | ANTチップのサスペンド用 |
SLP | SLEEP | 入力 | ANTチップのスリープ用 |
BR1 | BR1 | 入力 | UART通信速度設定用 1 |
BR2 | BR2 | 入力 | UART 通信速度設定用 2 |
BR3 | BR3 | 入力 | UART 通信速度設定用 3 |
RST, SUP, SLP の各ラインは、ANTチップの動作を制限し、消費電力を抑えるために使用します。
BR1, BR2, BR3 の各ラインは、非同期通信の速度設定用に使用します。
注意)
写真の (a) で示したコネクタは特性試験専用です。ユーザは、このコネクタを使用することはできません。外部アンテナなどを使用しないでください
写真の (b) で示した部品は、チップアンテナです。アンテナの特性を維持するため、この近くに他の部品や、金属製の部品などを配置しないようにお願いします。
制御用パッドについて †
RST, SUP SLP, BR1, BR2, BR3 の各パッドは チップ抵抗 1608用のパッドと同じサイズになっています。
このパッドに必要な信号線を半田付けして配線してください。 各ラインの機能については下記の通りです。
- RST
- ANTチップを外部から電気的にリセットするための信号です。モジュール内部でVDDにプルアップされています。GND に接続する(Lレベル) ことにより、強制的にリセットすることができます。接続するときは、必ずオープンドレイン出力のラインを接続してください。
- SUSPEND
- ANTチップを停止状態にすることができます。モジュール内部でVDDにプルアップされています。GNDに接続する(Lレベル) ことにより、サスペンド状態にすることができます。接続するときは、必ずオープンドレイン出力のラインを接続してください。
- SLEEP
- ANTチップを停止状態にすることができます。このラインはモジュール内部でVDDにプルアップしたラインがGNDに接続されています。このラインを使用するには、まずGNDに接続しているチップ抵抗を取り外す必要があります。取り外すチップ抵抗は 部品面に SLP と表示された 1608サイズのチップ抵抗です。このチップ抵抗を取り外してからマイコン等に接続してください。接続するときは、必ずオープンドレイン出力のラインを接続してください。
- BR1, BR2, BR3
- これらのラインは VDDにプルアップされています。 未実装の状態で H レベル (1) になります。速度を設定するために チップ抵抗を実装するときは 0Ω(ショート) の 1608サイズのものを実装してください。 すべて未実装の場合は 57200bpsになります。但し、この状態では、ANTチップ側がシリアル通信に追いつかないことがあります。 38400bpsまたは19200bps等で利用ために、チップ抵抗を実装することをお勧めします。 設定速度は 下表の通りになります。
38400bpsにするには BR1, BR2 に 0Ω (サイズ 1608)のチップ抵抗を実装します。
BR1 | BR2 | BR3 | 通信速度 (bps) |
0 | 0 | 0 | 4800 |
0 | 0 | 1 | 1200 |
0 | 1 | 0 | 19200 |
0 | 1 | 1 | 2400 |
1 | 0 | 0 | 38400 |
1 | 0 | 1 | 9600 |
1 | 1 | 0 | 50000 |
1 | 1 | 1 | 57600 |
0: 0Ω抵抗を実装
1: 未実装
使い方 †
(1) シリアル通信(TXD, RXD, RTS)の接続方法
ピンヘッダをJ1 に実装します。 ピン配置は、ホストインターフェイスを参照してください。
ANTモジュール側からハードウェア フロー制御用として RTSが出力されています。
ハードウェアフロー制御付無手順シリアル通信になります。 つまり、マイコン側は RTSを監視し、
ANTモジュールがBUSYの場合は、コマンドを送信しないようにする必要があります。
ハードウェアフローを使用しない場合は GPIOポート経由などで コマンドを送信する前にRTS信号が
L であることを確認してから送信するようにプログラムすることで代用することができます。
または コマンドを送信するまえに50μsec 以上の待ちを行ってから、送信することもできます。
ANTチップのデーターシートには 50μsecの記述がありますが、実際に動作を確認したところ RTS信号が
L に変化するまで 50μsecを超えることがあります。正しくコマンドを送信するために
必ず RTS信号線が L であることを確認してから、コマンドを送信するようにプログラムしてください。
なお、ANTモジュール側は CTSの入力がありませんので、ハードウェアフローを利用する場合でも、
マイコン側は 常にANTモジュール側からのレスポンスを受信できなければなりません。
(2) 制御ライン(リセット、サスペンド、スリープ)の接続方法
RST (リセット)、SUP(サスペンド)、SLP(スリープ) の各ラインを使用し、通信が不要なときに動作を停止させたり、
強制的にリセットすることが可能になります。またこれらの制御線を使用することにより、
モジュールを確実にリセットしたり、消費電力を抑えることが可能になります。
- RST(リセット)
- 動作状態は、Hレベルです。リセットするには L レベルにします。 このラインを使用しない場合は、H に固定します。
本モジュールでは、デフォルトの状態で H に固定されています。
- SLP(スリープ)
- 動作状態は、Lレベルです。スリープするには H レベルにします。 このラインを使用しない場合は、L に固定します。本モジュールでは、デフォルトの状態で L に固定されています。 このラインを H にすると、RTS が H になり、シリアル通信を受け付けなくなります。(モジュール内部で GNDに接続しているチップ抵抗を取り外す必要があります)
- SUP(サスペンド)
- 動作状態は、Hレベルです。サスペンドを利用するには 必ず SLPも使用します。単独では 解除できなくなりますので、注意してください。 サスペンド状態にするは SLPを Hレベルにして シリアルを停止してから、Lレベルに落とします。 サスペンド状態を解除するには、 SUPラインを Hレベルに戻したあとに、SLP を L にすることで解除されます。 またサスペンドを解除すると すべての設定はクリアされてしまいます。各チャンネルの設定等を最初からやり直してください。
注意事項およびその他 †
- 本モジュールに表示された 技術基準適合を示すマークおよび番号を汚損させないようにお願いします。
- 本モジュールを改造した場合、技術基準適合は無効になります。
- 本モジュールにある特性測定用コネクタは、試験専用です。このコネクタを利用した場合は、技術基準適合は無効になります。
- 本モジュールは、無鉛半田を使用しています。また接続用端子は無鉛半田に対応しています。
ANTの通信については、 http://www.thisisant.com/ を参照してください。
プロトコルの仕様書は This is ANT, the Wireless Sensor Network Solution より、
Developer's Zone -> AN Protocol and Usage へ進み、ANT Message Protocol and Usage のドキュメントをお読みください。
このドキュメントにANTの使い方が記載されています。
本モジュールは nRF24AP2-8CH を実装していますので、使用可能なチャンネル数は8chになります。
サンプルプログラムについては http://labs.beatcraft.com/ でも適宜 UPDATEしながら公開します。
2012.10.17.
2012.12.03. RTS信号線についての注意を修正
2013.05.27. 通信速度の表の訂正
BeatCraft, Inc.