BC-USB-Kit は、Microchip Technology社製 MCU (Micro Control Unit)である PIC24FJ128GB202 (以下PICマイコンと表記します) を搭載したUSBガジェット開発キットです。 Microchip Technology社が提供する開発環境を使用して、USBデバイスの開発・デバッグを行うことができます。
BC-USB-Kit には、オンボードでUSBコネクタのほか、EEPROM、温湿度センサー及びユーザーLEDと入力スイッチ各1個を搭載していますので、 すぐにこれらのデバイスを使ったUSBガジェットの開発を行うことができます。また、PIO I2Cなどを含む拡張端子を備えていますので、外部にセンサや表示ユニットなどを接続して拡張することもできます。
- 絶対最大定格
※1 5Vトレラント端子についてはピン配置を参照
値 備考 電源電圧 -0.3〜20V USBコネクタの電源ラインのみ(1-4端子間) 入出力端子電圧 (1) -0.3〜3.6V 5Vトレラント端子を除く ※1 入出力端子電圧 (2) -0.3〜5.5V 5Vトレラント端子のみ ※1 動作温度 0〜80℃ 結露なきこと
絶対最大定格は、モジュールの動作範囲を示すものではありません。この定格を超える入力を行うと一部あたは全部の機能が永久に機能しなくなったり、著しく性能が低下する限界を示すものです。この値を超えると必ずしも障害が発生するわけではありませんが、一瞬でも定格を超えないように取り扱わねばなりません。
- 動作時定格
項目 最小 標準 最大 備考 電源電圧 (VBUS) 4 5 5.5 V (BUSバス電源電圧) Hレベル入力電圧 2.3 3.6 V Lレベル入力電圧 0 0.9 V Hレベル出力電圧 2.8 3.3 V Lレベル出力電圧 0 3.3 V
BC-USB-Kitの概略は下記に示します。
※ EEPROM、温湿度センサは、I2Cで接続されています。
※ 一部を除き、PIOは、リマップピン機能で PIC 内部の任意の周辺回路に接続できます。
※ USB2.0 でサポートされるモードは、Low Speed と Full Speedです。
No 名称 Ref 備考 1 ICSP接続端子 J2 ICD3、PICKit3などと接続するための端子 2 リセットボタン SW1 PICをリセットするためのスイッチ 3 ユーザボタン SW2 ユーザプログラムでアクセス可能なスイッチ 4 ユーザLED D1 ユーザプログラムでアクセス可能なLED 5 拡張端子 J1 外部デバイスを接続し、拡張するための端子 基板の両側にある端子列2つで1組になります 6 USBTypeA コネクタ(オス) P1 PCのUSBポートなどに接続するための端子 7 電源表示LED D2 電源が供給されていると発光するLED (ユーザアクセス不可) 8 PICマイコン U1 PIC24FJ128GB202 マイコン本体です 9 EEPROM U2 I2Cでアクセス可能な1Mbits EEPROM 10 湿温度センサ U3 I2Cでアクセス可能な温度および湿度センサ ※ 電源表示LED (D2) は、USBバスから電源供給されると点灯します
※ リセットボタン (SW1)は、PICのリセットに繋がっています。押すとPICがリセットされます
※ J1の1〜6番端子とJ2の1〜6番端子は並列になっています。どちらか一方のみを使用します
※ J1の端子をブレッドボードなどで使用する場合は、DIP 28P (連結ICソケット 28Pが必要です
詳細はBC-USB-Kit/ピンヘッダ情報をご覧下さい
BC-USB-Kitは、DIP-28ピンサイズの接続端子と6ピンのピンヘッダサイズの接続端子があります。それぞれのピン配置は、下記の表の通りです。
- DIP28ピンコネクタ (J1)
●マークがある端子は、5Vトレラント対応端子です。
機能・名称 備考 1 MCLR J2 と並列 2 VIO J2 と並列 3 GND J2 と並列 4 PGED1 J2 と並列 5 PGEC1 J2 と並列 6 NC 7 VIO 8 SCL2 I2C (2ch) 専用 9 SDA2 I2C (2ch) 専用 10 GND 11 TMS/RPB57/USBID/RB5 ● 12 NC 13 TDI/RPB7/CTED3/PMD5/INT0/RB7 (RB7) ● 14 GND 15 GND 16 TCK/RPB8/SCL1/CTED10/PMD4/RB8 (UART - CTS) ● 17 CVREFOUT/AN10/C3INB/RPB14/VBUSON/SCK1/CTED5/RB14 (UART - RTS) 18 GMD 19 AN11/RPB13/CTPLS/PMRD/RB13 (UART-RX) 20 AN9/C3INA/RPB15/SCK2/CTED6/PMCS1/RB15 (UART-TX) 21 VIO 22 GMD 23 PGED3/VREF+/CVREF+/AN0/C3INC/RPA0/CTED1/PMD7/RA0 24 PGED3/VREF-/CVREF-/AN1/RPA1/CTED2/PMD6/RA1 25 SOSCI/RPB4/RB4 ● 26 SOSCI/RPB4/T1CK/CTED9/PMA1/RA4 ● 27 VIO 28 VBUS
- 6ピン ピンヘッダコネクタ
番号 名称 備考 1 MCLR J1 と並列 2 VIO J1 と並列 3 GND J1 と並列 4 PGED1 J1 と並列 5 PGEC1 J1 と並列 6 NC
BC-USB-Kit には、ICSP 機能を含む J1 拡張端子 と ICSP 接続用である J2 ICSP 接続端子があります。
J1拡張端子は、600mil 幅の DIP-28 と同じサイズでスルーホールが配置されています。
この端子に DIP-28 ピンサイズの連結端子を半田付けすることができます。
この場合、DIP-28 ピンのIC ソケットに装着したり、2.54mmピッチのユニバーサル基板等に接続することが可能になります。
またブレッドボードに実装して、実験を行うことも可能です。
ICSP 端子は J1 と J2 に並列に配線されています。
SW1 はリセット端子に接続されています。押下すると、MCLRが L レベルになり、PIC がリセットされます。
J1 拡張端子のICSP 接続用の端子または J2 ICSP 接続端子もありますので、
PICKit3 や MPLAB ICD3 などを接続してプログラムや、デバッグを行うことができます。
J1 拡張端子の 1〜6 番と J2 ICSP 接続端子は、並列になっています。
この端子のどちらか一方のみに PICKit3 や MPLAB ICD3 などを接続し、他方の端子にはなにも接続しないでください。
接続するとプログラムやデバッグが不安定になったり、動作しなくなります。
USB 2.0 をサポートしています。
USB の D-/D+ は PIC マイコンに接続されていますので、内蔵のUSB モジュールを有効にすることにより、使用することができます。
PIC マイコンによってサポートされるスピードは Low Speed と Full Speed です。J1 の11 番端子に USB-ID が配線されています。
オンボードの USB コネクタには USB-ID が配線されていません。
必要な場合は、J1 の 11 番端子を利用するか R5 (0Ω) を実装してUSB-ID を固定してください。
USB コネクタから供給される電圧が高い場合、過電圧保護IC によって遮断されます。
BC-USB-Kit は、オンボードで I2C接続のEEPROMおよび温湿度センサーを搭載し、PIC 内蔵のI2C2 モジュールに接続してあります。
このため I2C2 の端子は、I2C デバイス用に予約されており、他の用途に利用できません。
SDA/SCL の各ラインは オンボードで 3.3kΩの抵抗によってプルアップされています。
外部にデバイスを接続するときは、DIP-28 ピンコネクタの下記の4 ピンを利用すると、連続したピンでアクセスできます。
EEPROM は、1Mbit のシリアルROM です。 I2C デバイスアドレスは 0x50 と 0x51 に固定されています。
温湿度センサの I2Cデバイスアドレスは 0x40 に固定されています。
外部にI2Cデバイスを接続するときは、これらのアドレスを避けてください。
J1 ピン番号 名称 備考 7 VIO 3.3V電源 8 SCL I2Cクロック 9 SDA I2Cデータ 10 GND GND
BC-USB-Kit は、3.3V -CMOS レベルのUART を利用できます。
このラインは PIC マイコンのリマップ機能を使って、割り当てます。
この端子は、UART 機能を使わない場合や ハードウェアフローを使わない場合には、他の機能に割り当てて使用することが可能です。
UART を割り当てるときは 下記のマッピングを使うと、連続したピンでアクセスすることが可能です。
その他のピンに割り当てることもできます。
UART1 で利用する場合の設定レジスタを 以下に示します。
J1 ピン番号 名称 設定レジスタ 設定値 備考 15 GND - GND 16 CTS RPINR18<13:8> 8 17 RTS RPOR7<5:0> 4 18 GND - GND 19 RX RPINR18<5:0> 13 20 TX RPOR7<13:8> 3 21 VIO - 3.3V
PIC マイコンに内蔵されたADC を利用して、AD 変換を行うことができます。
BC-USB-Kit で利用可能な入力ピンは 下記の通りです。
なお、リファレンス電圧端子は他の用途に割り当てられているため、BC-USB-Kit では使用できません。
J1 ピン番号 名称 19 AN7 20 AN9
オンボードにはセカンドオシレータがありません。
セカンドオシレータを使うときは、26 番ピンに 32768Hz のクロックを入力してください。
OSCI/OSCO 端子に24MHz の水晶振動子が接続されています。
オンボードの水晶振動子を使い、USB 機能を利用する場合には、PIC マイコンに内蔵された USB モジュールに 48MHz のクロックが供給されるように設定が必要です。
- PLL Prescaler PLLDIV<3:0> を通過したあと 4MHz のクロックが必要です。
従って PLL Presaler は ÷ 6(PLLDIV<3:0> = 0101) が選択されなければなりません。- PLL から出力される System Clock は 32MHz を CPU Divier CPDIV<1:0> で選択された周波数になります。
回路図および配置図は、PDF 版の BC-USB-Kit Manual 末尾をご覧ください。
BC-USB-KIT.pdf
2015/03/18 初稿掲載
2015/04/02 資料リンク修正